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- 産婦人科の実際 2026年4月号 75巻4号 特集 卵巣がん手術―R0を目指して― 【電子版】
商品情報
内容
序文
卵巣がん手術―R0を目指して
企画者のことば:なぜ今,卵巣がん完全切除(R0)が必要なのか
卵巣がんはわが国において婦人科悪性腫瘍による死亡原因の第1位を占めており,その罹患率・死亡率は一貫して増加傾向にある。臨床の現場では,初診時の約7割がⅢ~Ⅳ期の進行例として診断され,腹腔内播種や多臓器転移を伴うことも少なくない。このような疾患特性のもと,卵巣がん治療における重要な課題は,いかに腫瘍量を減少させるかという点にある。
これまでの国際的ランダム化比較試験(EORTC 55971,CHORUS,SCORPIONなど)では,初回腫瘍減量手術(PDS)と術前化学療法+インターバル腫瘍減量手術(NAC+IDS)の治療戦略が検討されてきた。また再発例を対象としたDESKTOP Ⅲ試験では,適切に選択された症例において二次腫瘍減量手術(SDS)の意義が示されている。これらの研究を通じて,一次治療・再発治療を問わず,肉眼的完全切除(R0)の達成が予後と密接に関連することが広く認識されてきた。近年では,PDSとNAC+IDSの位置づけをあらためて検証するTRUST試験などの結果も報告され,R0を目指した外科治療のあり方について再び議論が深まりつつある。
一方,BRCA1/2変異や相同組換え修復欠損(HRD)といった分子診断の進歩により,PARP阻害薬や血管新生阻害薬を用いた維持療法が臨床に導入され,卵巣がん治療はこの10年で大きく変化した。しかし,これらの分子標的治療の効果を最大限に引き出すためには,初回治療において腫瘍量を可能な限り減少させておくことが重要であると考えられている。薬物療法が進歩した現在においても,外科的完全切除は依然として治療戦略の重要な基盤に位置づけられているといえよう。
卵巣がん手術は,子宮・付属器にとどまらず,腸管,膀胱,尿管,肝臓,脾臓,膵尾部,横隔膜など多臓器合併切除を伴うことも少なくない高難度手術である。後腹膜リンパ節郭清では主要血管周囲の精緻な操作が求められ,臓器損傷や血管損傷への迅速な対応も不可欠となる。そのため,婦人科腫瘍専門医のみならず,大腸外科,肝胆膵外科,血管外科,泌尿器科,麻酔科,看護師,臨床工学技士など診療科の垣根を越えた多職種連携によるチーム医療の結集が,R0達成の重要な基盤となる。
本特集では,各領域のエキスパートにより,卵巣がん手術における最新のエビデンス,手術に必要な解剖学的理解,各種合併切除の手技と修復法,起こりうる合併症への具体的な対策,術後管理の要点を提示するとともに,R0を安全に達成するための教育体制やチームビルディングについても論じていただいた。分子標的治療が進歩した現在だからこそ,「切除の完成度が治療全体の成果に影響する」という外科治療の基本をあらためて見つめ直すことが,本特集の目的である。本特集が,卵巣がん手術の質の向上と次世代の術者育成に寄与することを期待したい。
津田尚武
目次
総論
1 PDSかNAC+IDSか−PARP時代のエビデンス−
加藤 一喜
2 卵巣がん手術の術者養成のための教育体制
鎌田 麻由美
3 卵巣がん手術における診療科連携
勝田 隆博
各論
1 R0を目指した卵巣がん手術における血管損傷
宮本 雄一郎
2 他臓器切除と合併症対策−腸管−
浅生 義人
3 他臓器切除と合併症対策−肝臓・脾臓・膵尾部−
楯 真一
4 他臓器切除と合併症対策−尿管・膀胱損傷−
西原 聖顕
新たな卵巣がん手術
1 全壁側腹膜切除術
横須 幸太
2 卵巣がん手術におけるロボット支援手術の現在地−エビデンスと実臨床から考える適応と今後の展望−
小林 栄仁
シリーズで学ぶ最新知識
メノポハンド(menopausal hand)(最終回)
第3回 メノポハンドと手術療法
萬代 彩乃
今日の話題
妊娠前高度やせと早産リスクの関連
山中 智裕
原著
思春期女性の月経困難症に対するホルモン治療の実際−低用量ピルを優先しさらに連続投与を見据えた導入−
松本 直樹
臨床経験
当院における骨盤位外回転術に対する取り組み
所 伸介
症例
死戦期帝王切開とVA-ECMOにて母児ともに救命しえた1例、およびわが国での死戦期帝王切開の検討
谷郷 花圭
肝被膜下血腫を合併したpreeclampsia の1例
内田 小祐貴
体表リンパ節生検により診断しえた結核性腹膜炎の1例−癌性腹膜炎との鑑別と感染対策の重要性−
黒柳 雅文
海外文献から
近畿大学医学部教育センター
・子宮内膜ポリープのゲノム解析
・医学教育における大規模言語モデルの実用的活用と落とし穴
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書籍情報
- ISBN:9784003107504
- ページ数:116頁
- 書籍発行日:2026年4月
- 電子版発売日:2026年4月24日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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