J-HELP 災害時の病院避難計画研修 コーステキスト

  • ページ数 : 42頁
  • 書籍発行日 : 2026年8月
  • 電子版発売日 : 2026年8月12日
¥3,850(税込)
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商品情報

内容

日本は地震、津波、台風など、しばしば自然災害に見舞われる。また火災や交通事故、感染症のパンデミックなども災害といっていいだろう。これらの災害時に、医療機関は多数傷病者への対応と同時に、医療機関そのものの機能をいかに維持するかが問われる。「病院避難」は、その象徴ともいえる課題である。
J-HELPは、本邦初の病院避難に特化した教育プログラムである。病院避難に必要な評価、意思決定、準備、搬送、そして復旧までの一連のプロセスを体系的に学ぶことを目的としている。
発災時の対応だけではなく、平時からの備えが重要である。病院避難は医療者のみならず事務職員も含めた病院全体で取り組むべき課題であり、J-HELPはそのための一助となるだろう。

序文

監修にあたって

地震、津波、豪雨、感染症、テロ——災害の様相は異なっても、その対応の根幹となる原則は変わらない。MIMMS(Major Incident Medical Management and Support)は、その普遍的な原則を体系化し、災害医療における共通言語として世界各国で活用されてきた。

わが国においても、阪神・淡路大震災をはじめ、東日本大震災、熊本地震、能登半島地震、さらには数々の風水害や感染症対応を通じて、多くの教訓が積み重ねられてきた。その中で、災害医療は多数傷病者への対応だけでなく、医療機関そのものの機能をいかに維持するかという課題にも向き合うようになった。

病院避難は、その象徴ともいえる課題である。

病院は本来、患者を受け入れ、守る場所である。しかし災害によって病院自体が危険にさらされたとき、患者や職員の安全を確保するためには、病院から退避するという極めて難しい決断を迫られることがある。避難が遅れれば生命に危険が及ぶ。一方で、避難そのものが患者に大きな負担と危険をもたらす場合も少なくない。

病院避難は経験する機会が限られている。だからこそ、実際の災害対応から得られた経験を教訓として蓄積し、それを平時の準備と訓練に生かしていかなければならない。限られた時間と資源の中で何を優先するのか。誰が判断し、どのように組織を動かすのか。そのためには、平時から共通の考え方と手順を共有し、繰り返し訓練しておくことが不可欠である。

J-HELP(Japan Hospital Evacuation and Life Support Planning for Major Incident)は、そのために開発された本邦初の病院避難に特化した標準化教育プログラムである。MIMMSおよびHospital MIMMSで培われた理念と手法を基盤とし、病院避難に必要な評価、意思決定、準備、搬送、そして復旧までの一連のプロセスを体系的に学ぶことを目的としている。

病院避難は単なる患者搬送ではない。患者の安全を守りながら医療機能を維持し、地域医療を支えるための組織的なマネジメントである。その成否は、発災時の対応だけではなく、平時からの備えによって決まる。

本テキストとJ-HELPコースが、各医療機関における病院避難計画の整備と実践に役立ち、災害時においても患者と医療従事者の安全を守るための一助となることを願っている。


2026年6月

一般社団法人MIMMS日本委員会
代表理事 水島 靖明



編集にあたって

本テキスト作成から刊行までの間にも、本邦では実に様々な災害を経験し、病院が災害時にも診療機能を維持することの重要性を改めて認識することとなった。

本テキストの編集では、海外での体系的テキストからの知見に加え、J-HELPコースで培われた教育内容を再整理するとともに、最新の知見を反映しながら、より実践的で理解しやすいテキストとなることを目指した。病院避難を特殊な状況下の例外的な対応としてではなく、災害医療における体系的な医療マネジメントの一つとして位置付けることを重視した。そのためMIMMSが提唱するオールハザードアプローチやCSCATTTの基本理念との整合性を図りつつ、緊急度の概念を導入し、日本の医療体制や病院運営の実情に即した内容となるよう努めた。

さらに病院避難を「評価決定期」「避難期:準備」「避難期:移動」「回復期」という一連のプロセスとして整理した。それぞれの段階において必要となる考え方や実践事項をより明確に記載した。用語の整合性に関しても詳細に検討を重ねた。図表についても、講義や机上演習において活用しやすいよう見直しを行い、多職種が共通のイメージを持ちながら学習できる構成を意識した。病院避難は医師や看護師のみならず、臨床検査技師、診療放射線技師、薬剤師、臨床工学技士、さらには事務職員を含めた病院全体で取り組むべき課題であり、その共通理解を促す教材となることを期待している。

一方で、本領域はいまだ発展途上にあり、十分なエビデンスが蓄積されているとは言い難い。災害の様相や医療提供体制は今後も変化を続け、新たな課題が生じることも予想される。本テキストも完成形ではなく、全国各地での訓練や実災害で得られた知見を取り入れながら、継続的に改訂を重ねていくべきものと考えている。

病院避難は一部の災害医療専門家だけが担うものではない。本テキストがJ-HELPコースを受講される皆様のみならず、それぞれの医療機関における病院避難計画の策定や教育・訓練の一助となり、安全で実効性のある病院避難体制の構築につながることを願っている。


2026年6月

テキスト編集委員会一同

目次

はじめに

第1章 大事故災害への体系的アプローチの基本原則

第2章 大事故災害時の病院対応の構造的アプローチ

第3章 病院避難対応の体系的アプローチ

参考文献

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書籍情報

  • ISBN:9784867191385
  • ページ数:42頁
  • 書籍発行日:2026年8月
  • 電子版発売日:2026年8月12日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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