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臨牀透析 Vol.42 No.10 9月増刊号 腎不全で療養している方のファミリーセンタードケア

  • ページ数 : 206頁
  • 書籍発行日 : 2026年9月
  • 電子版発売日 : 2026年9月29日
¥6,380(税込)
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商品情報

内容

本増刊号では,ファミリーセンタードケアの基本的な考え方を共有したうえで,多職種による支援,治療法に応じたケア,ライフステージごとの課題,多様な家族背景への対応などについて取り上げる.
本増刊号を通して,患者だけでなく家族全体を見つめる視点を深め,腎不全で療養している方とその家族への支援を考える機会となれば幸いである.また,患者と家族,そして医療者が協働して,その家族らしい形を築いていくプロセスに目を向けていただければと願っている.

序文

序文


● 腎不全で療養している方と家族

腎不全は長期にわたる療養を必要とする疾患である.保存期から透析療法,腎移植,さらには人生の最終段階に至るまで,患者は病気とともに生活を続けていく.その過程では食事療法や通院,治療法の選択,就労や経済的課題など,多くの問題に向き合うことになる.こうした療養生活は患者本人だけで完結するものではない.

家族メンバーもまた,生活の調整や意思決定への参加,精神的な支援など,さまざまな形で病気の影響を受ける.患者の病状や生活の変化は家族にも影響を及ぼし,家族の変化は患者にも影響を与える.腎不全の療養は患者だけの問題ではなく,家族全体の課題でもある.


● 家族の考え方とファミリーセンタードケア

家族のあり方は時代とともに変化している.現代社会においては,多様な価値観をもつ人々によってさまざまな形の家族が存在している.マリリン・M・フリードマン(Marilyn M. Friedman)は,「家族とは,感情的な絆によって結ばれ,家族であると自認し,相互に影響し合いながら役割や機能を果たす人々の集団である」と述べている1).すなわち,家族とは単に血縁や婚姻関係によるつながりだけではなく,互いが家族と認め合い,情緒的につながることで成立するものである.また,家族システム論2),3)では,家族は相互に影響し合うメンバーからなる一つのシステムであり,一人の変化が他のメンバーにも影響を及ぼし,家族全体も変化すると考える.

腎不全というできごともまた患者だけではなく家族全体に影響を与え,家族はその都度バランスを崩しながらも再び均衡を保とうと変化していく.それぞれの家族は,その関係性のなかで病気や療養生活の意味を見出しながら,家族全体と個々のメンバーの安寧を保とうとしている.

このような家族の捉え方を基盤とするのがファミリーセンタードケアである.ファミリーセンタードケアは,1950年代の小児医療において親子分離の弊害への反省から発展した考え方4),5)であり,患者と家族を切り離して捉えるのではなく,患者と家族を一つの単位として捉えることを重視している5),6).また,家族は患者を支える重要な存在であり,家族メンバーと医療者はパートナーシップをもって患者を支えることになる.さらに家族は患者ケアの協働者であると同時に,支援を必要とする人たちでもある.


● 腎不全患者と家族へのファミリーセンタードケア

腎不全医療では,患者の療養生活が長期に及ぶことから,家族の存在はきわめて大きい.治療の選択や継続,日常生活の調整,人生の最終段階における意思決定など,多くの場面で患者と家族はともに歩んでいく.

そのため医療者には,患者だけでなく家族にも目を向け,患者と家族がもつ力を引き出しながら支援することが求められる.患者と家族,そして医療者がパートナーとして協働することによって,その家族らしい療養生活を支えることが可能となる.

本増刊号では,ファミリーセンタードケアの基本的な考え方を共有したうえで,多職種による支援,治療法に応じたケア,ライフステージごとの課題,多様な家族背景への対応などについて取り上げる.

本増刊号を通して,患者だけでなく家族全体を見つめる視点を深め,腎不全で療養している方とその家族への支援を考える機会となれば幸いである.また,患者と家族,そして医療者が協働して,その家族らしい形を築いていくプロセスに目を向けていただければと願っている.


2026年7月

昭和医科大学大学院保健医療学研究科
三村 洋美



文献

1) Friedman MM, Bowden VR, Jones EG:Family Nursing:Research, Theory, and Practice.6th ed. 2008, Pearson Education, Boston

2) Wright LM, Leahey M:Nurses and Families. 8th ed. 2021, F. A. Davis, Philadelphia

3) Bowen M:Family Therapy in Clinical Practice. 1978, Jason Aronson, New York

4) Shelton TL, Jeppson ES, Johnson BH:Family‒Centered Care for Children with Special Health Care Needs. 1987, Association for the Care of Children’s Health, Washington, DC

5) Kuo DZ, Houtrow AJ, Arango P, et al:Family‒centered care:current applications and future directions in pediatric health care. Matern Child Health J 2012;16:297‒305

6) 浅井宏美:周産期・小児医療におけるFamily‒Centered Care―概念分析.日看科会誌 2013;33:13‒23

目次

【特集:腎不全で療養している方のファミリーセンタードケア】

Ⅰ.家族ケアの基本

1.家族の捉え方:ファミリーセンタードケアで家族を捉える意義  三村 洋美

2.家族の定義:現代の家族のパラダイム  西田 幸典

3.家族の構造:家族理論から捉える家族のもつ機能  桐明あゆみ

4.家族の心理:慢性疾患患者を含む家族メンバーのメンタリテ  髙谷 知史

Ⅱ.さまざまな専門職者が実践する家族ケア

1.透析導入した患者の退院時に患者の家族に関わる:MSW  田口眞規子

2.通院透析患者の療養継続を支える家族への看護支援:透析室看護師による 2 事例の検討  薄井  園

3.服薬指導時の家族に関わる:薬剤師  熊木 良太

4.栄養指導を受ける家族に関わる:栄養士  市川 和子

5.在宅療養を支えるパートナーとしての家族に関わる:訪問看護師  田嶋ひろみ

6.透析患者を支える家族支援について:生活支援の視点からケアマネジャーが考えること  相樂  裕

7.腎代替療法の意思決定時に家族に関わる:療法選択外来の看護師-生体腎移植  前田 景子

8.腎代替療法の意思決定時に家族に関わる:腎臓内科医  朝田 啓明

9.腎代替療法の意思決定時に家族に関わる:公認心理師・臨床心理士  小貫亜希子,他

Ⅲ.治療に関連する家族ケア

1.遺伝性疾患による透析導入時の遺伝カウンセリング  森貞 直哉,他

2.移植の生体ドナーとなった家族  萩原 邦子

3.在宅血液透析をサポートする家族  黒田 沙織

4.アシストPD をサポートする家族の問題と支援  河原田康貴

5.精神疾患を併存するCKD 患者の家族支援-精神科医の立場から  岡  文恵

6.慢性腎不全患者においてCKM を選択した場合の患者家族へのサポート  徳元しのぶ

Ⅳ.患者のライフステージ別の家族ケア

1.慢性腎不全の患児の家族:Palliative PD を余儀なくされた患児と家族を支える看護  西田 幹子,他

2.青年期に経験した移植と移植腎摘出の葛藤と現在  岡部  祥

3.仕事をもつ透析患者の家族  片村 幸代

4.重度身体介護・認知症で要介護度の高い患者の家族  大賀 由花

5.老々介護の状況や独居患者の家族  髙田  舞

6.End-of-Life の維持透析患者におけるファミリーセンタードケア:家族に焦点を当てた事例分析と支援の検討  田村 由衣

Ⅴ.状況に対応した家族ケア  小林 清香

2.食事が摂取できなくなった透析患者と家族を支える倫理:家族に寄り添う「できないことは行わない」医療  山下 実紗,他

3.慢性腎不全患者が在宅で急変した時の家族への指導を含む支援の方法  熊沢ひとみ

4.感染症に罹患した患者の家族  増谷  瞳,他

5.患者の介護を抱え込む家族:“困っていない家族”とどう向き合うか  片岡 今日子

6.患者との関係が良好でない家族  松岡由美子

7.医療・福祉サービスに不満をもつ家族  齋藤 凡

8.家族へのグリーフケア  三浦 靖彦

コラム:透析患者を看取った家族から専門職者に望む家族ケア  稲松あさこ

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書籍情報

  • ISBN:9784004104210
  • ページ数:206頁
  • 書籍発行日:2026年9月
  • 電子版発売日:2026年9月29日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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