ケースで学ぶ老年薬学 改訂版

  • ページ数 : 356頁
  • 書籍発行日 : 2026年10月
  • 電子版発売日 : 2026年10月9日
¥6,380(税込)
m3.com 電子書籍ポイント: 最大 116pt ( 2 %)
m3ポイント:1%相当
point-info
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

高齢者に多く見られる病態・疾患について、具体的なケースを通じて、処方提案や生活指導など薬剤師が現場で介入すべきポイントを学べる一冊。高齢者に多い疾患の特徴や、加齢に伴う生理的変化を理解し、薬剤師はどのように課題解決の糸口を見いだせるのかを実践的に解説します。
「老年薬学」の最前線で活躍する執筆陣が、高齢者薬物療法の基本から実践までを分かりやすく解説。今回の改訂版では、「日本版抗コリン薬リスクスケール」「高齢者施設における服薬簡素化」「口腔内副作用」など、最近注目されるトピックを新たに追加しました。「老年薬学認定薬剤師」認定試験にも対応!

序文

序

総務省の統計によると日本の総人口は減少し続けている一方で、高齢者が全体の4分の1を超え、なお増加傾向にある。日本は世界に類を見ない超高齢社会に突入しており、高齢者医療に関わる学術的課題が山積していることは容易に想像できる。高齢者医療を学問領域とする老年薬学が、今後も重要性を増すことに議論の余地はないであろう。特にポリファーマシーの問題は深刻であり、多併存疾患に伴う処方の複雑化が薬物有害事象の発現リスクを押し上げ、高齢者の生活の質を大きく揺るがせている。薬剤師には、高齢者の薬剤数を単純に減らすだけではなく、患者の生活背景、疾患特性、薬物動態の変化を踏まえて処方を最適化する実践力が求められている。

医療現場では高齢患者が増え続けているが、高齢者の薬物療法については、科学的根拠の確立がまだ不十分な状況にある。一般的に高齢者は、生体構成成分の変化に伴い、生理的な腎機能および肝機能低下を生じやすく薬物動態が大きく変容しやすい。そのため若年成人を基準とした従来の薬物療法を施行すると高齢者では、想定し得ない症状が出現することがある。

また近年の在宅医療の拡大も、老年薬学に社会的な課題を突き付けている。多職種連携の現場では、薬剤師が服薬管理支援だけでなく、生活環境に即した薬物療法の設計者として関与することが不可欠である。地域包括ケアシステムの深化に伴い、地域全体で高齢者を支える仕組みの中で薬剤師がデータに基づく処方提案をし、薬物有害事象の予防において中心的な役割を担うことが期待されている。

こうした背景の下、日本老年薬学会は2016年に設立され(設立時代表理事、秋下雅弘東京大学医学部教授)、高齢者に対する薬物治療の質の向上を目指して活動を続けてきた。設立以来、学術大会や研修会を通じて認定薬剤師制度の支援など薬剤師の専門性向上にも力を入れてきた。さらに本学会は2023年に日本老年学会に加盟し、国内外の関連学会との連携を深めながら、さらなる発展を目指している。近年、老年医学分野では、基礎から疾患の診断と治療、高齢者機能評価に至るまで、若年成人にはない概念や根拠が確立されてきた。対して日本老年薬学会では、次のような課題に科学的根拠を確立し、老年薬学の学問体系構築を進めていきたいと考えている。

・多併存疾患への対応とポリファーマシー対策

・個別最適化を目指した薬理学・薬物動態学の体系化

・高齢者特有の薬物治療管理手法の構築

・病院・在宅など医療機能に応じた薬物治療の実践

・口腔の健康および嚥下機能と病態との関連性の解明

今後の老年薬学に求められるものとして、リアルワールドデータの活用によるリスク評価の高度化、AIやICTを用いた服薬管理支援の発展、地域薬局を拠点とした継続的なモニタリング体制の構築なども挙げられる。高齢者の「その人らしい暮らし」を支えるためには、医学・薬学・介護の枠を超えた統合的アプローチが必要であり、老年薬学はその中核を担う学問分野になると考えている。

さて、本書は日本老年薬学会監修の下、老年薬学を学ぶ薬剤師に向けて総論から各論、基礎から実践までこの学問分野を俯瞰・網羅する教科書として2024年1月に発刊した『ケースで学ぶ 老年薬学』の改訂版である。初版制作の際には日本老年薬学会の認定試験小委員会委員長や指導薬剤師による査読を受けるなど、老年薬学会認定薬剤師制度でも活用されることを念頭に編集を行った。その結果、読者から高い評価を得ることができたが、発刊から2年が経過し一部の記載情報がやや古くなったことから、このたび改訂版を発行する運びとなった。

改訂版においても、総論から各論、基礎から実践といった構成を維持した。一方で2024年の初版発行以降に登場した新薬や新ガイドラインの情報、それらに伴う臨床現場での対応の変化をしっかりと盛り込んだ。また、年々重要性を増す「ポリファーマシー」の項目を強化し、「日本版コリン薬リスクスケール」や「服薬簡素化」といった最新の知見を新項目として加えるなど、コンテンツのブラッシュアップにも取り組んだ。もちろん初版に引き続き、老年薬学会認定薬剤師制度で活用可能な内容になっているのは言うまでもない。初版以上に有用な書籍に仕上がったものと確信している。

本書が、老年薬学を学ぶ薬剤師、薬学部の学生のみならず、高齢者医療に携わるすべての職種にとって、老年薬学の理解を深め、日々の臨床実践の一助となることを心から願っている。


2026年9月吉日

日本老年薬学会 代表理事
大井一弥

目次

1章 老年医学とは(大井 一弥)

1 高齢者の現状

2 高齢者と社会の変化

3 フレイルとサルコペニア

4 高齢者の生理機能

5 薬物動態の概念

2章 高齢者のみかた(小川 純人)

1 高齢者総合機能評価

2 QOLの評価

3 認知機能の評価

4 栄養状態の評価

3章 老年症候群とは(秋下 雅弘)

1 老年症候群

2 薬剤起因性老年症候群

3 高齢者医療の在り方

4章 高齢者薬物療法の新たな指針

1 日本版抗コリン薬リスクスケール(溝神 文博)

2 高齢者施設の服薬簡素化(丸岡 弘治)

3 ポリファーマシーの概要(新井 さやか)

4 ポリファーマシーへの対応(実践)(神保 美紗子、谷口 誠哉)

コラム:薬物療法情報提供書の活用方法(溝神 文博)

5章 高齢者における疾患と治療

1 心不全、虚血性心疾患 (高井 靖)

2 脳血管障害 (藤原 久登)

3 高血圧 (大本 暢子)

4 肺炎、嚥下性肺疾患 (加藤 隆児)

5 慢性閉塞性肺疾患(COPD)(加藤 隆児)

6 糖尿病(大本 暢子)

7 脂質異常症(武藤 浩司)

8 骨粗鬆症 (那須 いずみ)

9 ロコモティブシンドローム (長谷川 章)

10 消化器疾患 (加藤 雅斗)

11 CKD(慢性腎臓病)(赤尾 眞)

12 パーキンソン病(篠永 浩)

13 感染症 (松元 一明)

14 がん(肺腺がん、乳がん)(岩本 卓也)

15 皮膚障害(ドライスキン)(大井 一弥)

16 褥瘡(古田 勝経)

17 うつ病(中村 友喜)

18 不眠症、せん妄 (中村 友喜)

19 認知症(三輪 高市)

20 便秘(溝神 文博)

21 排尿障害(前堀 直美)

22 口腔内副作用(山浦 克典)

6章 高齢者の介護と在宅医療

1 老健施設でのケア (丸岡 弘治)

2 在宅医療 (雜賀 匡史)

3 緩和医療~痛みのケアを中心に~(細谷 治)

4 終末期医療(細谷 治)

5 嚥下障害を伴う高齢者の服薬支援(倉田 なおみ)

コラム::「服用薬剤調整支援料2」について(溝神 文博)

7章 高齢者医療における法規・制度・倫理

1 高齢者医療における法律と制度(亀井 美和子)

2 高齢者医療における倫理(岸本 桂子)

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:14.1MB以上(インストール時:37.3MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:56.3MB以上

  • android icon

    AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:14.1MB以上(インストール時:37.3MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:56.3MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784296220304
  • ページ数:356頁
  • 書籍発行日:2026年10月
  • 電子版発売日:2026年10月9日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍アプリが必要です。

※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。