臨床医が腑に落ちる 漢方処方の考え方

  • ページ数 : 232頁
  • 書籍発行日 : 2026年9月
  • 電子版発売日 : 2026年10月9日
¥4,180(税込)
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商品情報

内容

研修医・若手医師から、一般内科医、プライマリ・ケア医まで、実臨床で使える漢方処方の考え方が身につく入門書です。
漢方薬は種類が多く、理論もとっつきにくいもの。本書では、西洋医学の臨床医にも分かりやすいように、漢方薬同士の関係性をストーリー立てて整理しています。丸暗記に頼らず「芋づる式」に、漢方処方がどんどん理解できるのが特徴です。
また、「六病位」「気・血・水」など東洋医学に独特の概念も、臨床の場面に沿って、やさしく解説しています。明日からの診療で、漢方薬を自分で選び、処方できるようになる一冊です。

序文

まえがき

筆者の自宅の本棚には、基礎医学、臨床医学、公衆衛生と多岐にわたる教科書が、所狭しと並んでいます。これらの多くは、親からの仕送りとアルバイト代で、学生時代に購入したものです。当時の筆者は、医学部の講義に追いつくための副読本を探しながらも、結局は教科書に頼らざるを得ない状況でした。しかし、たった1週間の講義と試験のために、800ページにも及ぶ高価な教科書を購入する必要が本当にあるのか―葛藤を抱えていたのも事実です。もちろん、学生時代に教科書を読み込む経験の重要性は疑いようがありません。教科書との格闘が、その後の進路を決定づけることもあります。ただ、すべての科目で同じことを求めるのは現実的ではなく、結果として残ったのが、いまも埃をかぶったままの本棚なのです。

近年では通読可能性を重視したいわゆる “アンチョコ本” も増えてきました。しかし、その多くが読みやすさを優先するあまり、難解な概念を十分に扱わないという問題を抱えています。結果として、「読み切ったが理解していない」という状況に陥りやすい。むしろこれらは、講義前の予習として活用されてこそ意味を持つ書籍なのかもしれません。もっとも、日本の医学教育の現状を踏まえれば、そのような理想的な使われ方が一般的とは言い難いわけで、こうして考えると、講義に対する「ちょうどよい副読本」を作ることの難しさが浮き彫りになってきます。

漢方医学の書籍に目を向けても、状況は大きく変わりません。流派ごとの難解な理論を深く掘り下げた専門書と、流派に依らない簡便なマニュアル本との間で、二極化が進んでいるように見受けられます。つまり、深く学ぼうとすれば挫折しやすく、手軽に学ぼうとすれば理解に至らない。もちろん、例外もあります。例えば、三潴忠道先生の『はじめての漢方診療十五話』(医学書院)は、難解な概念から逃げることなく、それを平易な物語として提示することに成功した稀有な一冊です。筆者自身も繰り返し読み、後進にも勧めてきました。しかし同時に、この名著でさえ厳しいと感じている初学者に対し、どのように漢方医学を伝えるべきかという課題を、教育者として臨床の現場で意識するようにもなりました。

本書は、そうした問題意識から生まれたものです。漢方医学の全体像を、難しい概念を生かしながら、しかし可能な限り平易な文体で俯瞰できるよう構成しています。厳密性を過度に追求することは避けつつも、誤解を招かないよう細心の注意を払いました。それ以上に、古人の自然観や身体観を、現代に生きる我々が想像しうる言葉へと翻訳することを最大限に意識しています。本書を通じて最初のハードルを越えることができれば、その先は物語をたどるように、漢方医学の理解が連なっていくはずです。本書が、過去と現在のあいだに横たわる断絶をつなぐ、小さな架け橋となることを願ってやみません。@

筑波大学附属病院 病院総合内科
伊東 完

目次

第1章 身近な漢方からおさえる

第1回 導入編1 わたしの漢方遍歴

第2回 導入編2 劇的に効く初学者向け漢方薬とは

第3回 感冒編1 「肩凝りに葛根湯が効く」は本当なのか?

第4回 感冒編2 「東洋のアドレナリン」とも呼べる麻黄の底力

第5回 感冒編3 虚弱な人向け、「お腹に優しい」桂枝湯

第6回 感冒編4 「お腹に優しい」桂枝湯、芍薬を足し引きするとどうなる?

第7回 感冒編5 子どもも飲みやすい、水飴入りの小建中湯

第8回 感冒編6 少し時間のたった感冒に、抗炎症作用のある柴胡桂枝湯

第9回 感冒編7 倦怠感、食欲不振…こじれた感冒症状に小柴胡湯

第2章 漢方医学の考え方を理解する

第10回 「急性期疾患のステージ分類」とも言える六病位って?

第11回 慢性期疾患の漢方治療に欠かせない「気・血・水」の考え方

第12回 これだけは覚えたい!水毒を治す4つの代表的生薬とは

第13回 貧血や更年期障害…血虚に対する基本の漢方薬は四物湯!

第14回 疲れやだるさ…気虚への基本は四君子湯、よく使われる派生処方は

第15回 気逆を治す鍵となる桂皮、桂枝湯は感冒初期だけでなく気逆にも!

第16回 胸の苦しさやつかえ、気鬱に効く3つの処方と4つの生薬

第17回 瘀血を治す漢方薬はやや複雑、鍵になる生薬は桃仁と牡丹皮

第3章 症状に対する処方を理解する

第18回 立った時? 歩いた時?めまいの起こり方で異なる漢方処方

第19回 動悸に適した漢方は「桂皮」ベースで考えよう

第20回 「胸のつかえ」には半夏厚朴湯?症状の見分け方と他剤との使い分けは

第21回 長引く咳への漢方、「麻黄」「杏仁」の有無がカギ

第22回 便秘には「東洋のセンノシド」こと大黄甘草湯から

第23回 冷え症には、芯から温める「乾姜」、四肢を温める「附子」のイメージで

第24回 夏バテ、不眠…全身倦怠感には「参耆剤」ベースで立ち向かう

第25回 「イライラ」に抑肝散、「疲労困憊」に酸棗仁湯…不眠症への漢方薬アプローチ

第26回 出産、育児、加齢…「未病」に対する漢方薬とは

第4章 漢方薬のエビデンスと学び方

第27回 漢方医学のエビデンスが確立しづらいワケ

第28回 初学者必読!漢方を学ぶための「3つの鍵」

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書籍情報

  • ISBN:9784296220182
  • ページ数:232頁
  • 書籍発行日:2026年9月
  • 電子版発売日:2026年10月9日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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