看取りの技術 改訂版 平方流 上手な最期の迎えさせ方

  • ページ数 : 208頁
  • 書籍発行日 : 2026年6月
  • 電子版発売日 : 2026年7月7日
¥3,520(税込)
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商品情報

内容

 「私はもう長くないのですね」と患者さんから言われたとき、あなたは“上手”に答えられますか? 人は誰しも、人生の終わりを1回だけ迎えます。周りの人たちにとっても、その人の命の終わりは1回きりです。そのたった1回の最期が、納得がいかなかったり、不安で一杯だったり、満足できないものだったら、本人も無念でしょうし、看取った家族にも医療者にも後悔が残ります。
 そんな事態を避けるには、医療者が看取りに対する知識や技術を身に付け、死の前後の時間を皆が安心して過ごせるようにサポートする必要があります。でも、それらを学ぶ機会はほとんどないのが実情です。
 本書では、30年にわたって、3000人以上を看取ってきた緩和ケア医である筆者が、試行錯誤の末に編み出した独自のノウハウを余すことなくお伝えします。非常に分かりやすく、実践的に記載されているので、医師だけでなく、看取りに関わる全ての医療従事者の参考になるはず。満足度の高い看取りを実現するために、ぜひご一読ください!

序文

はじめに

日本は現在、「多死社会」と呼ばれる時代に突入しています。亡くなる人の数は年々増え、病院だけでなく、居宅や介護施設など、色々な場所で人生の最終段階を支えることが求められるようになりました。

かつて、「看取り」は、一部の専門職だけが関わる「特別な医療」のように考えられていました。しかし、今は違います。どの診療科にも、どの病棟にも、どの介護現場にも、「死について話さなければならない場面」が存在します。

患者さんや家族は、「残された時間はあとどれくらいか」「どんな覚悟をしておけばいいのか」「我慢できないほど苦しくなったりしないか」といった、様々な不安や疑問を抱えています。一方で、医療・介護従事者は、それらにどう対応すればよいのかを、十分に学ぶ機会がないまま、現場に立っていることも少なくありません。「何と答えたらよいかが分からない」「説明したのに伝わらない」「家族対応が怖い」と感じながら働いている人が多いのではないでしょうか。

私は、これまで長年にわたり、緩和ケアや在宅医療の現場で、たくさんの患者さんや家族と向き合ってきました。直接看取った人だけでも3000人を超えています。その経験を通じて痛感したのは、「正しい医療を提供するだけでは足りない」ということでした。

どれだけ医学的に適切な処置をしても、患者さんや家族が孤独や苦悩の中に取り残されてしまえば、「良い看取りだった」とは捉えてもらえません。逆に、病気を治すことができなくても、「この人たちと一緒に過ごせて良かった」と思える時間をつくることは可能です。

そのために必要なのが、「コミュニケーション」です。看取りの現場では、言葉が人を傷付けることもあります。逆に、たった一言で、患者さんの不安を和らげられたり、家族の後悔の念を軽くしたりもできるのです。

死を前にした人との会話は、独特の難しさを伴います。何を言っても、患者さんや家族のためにならないのではないかと感じる瞬間もあります。それでも、誰かが隣にいて、共に考え、言葉を探すことには、大きな意味があると私は考えています。

本書では、看取りの場面で起こりやすい問題や、病状の捉え方、情報共有の方法、患者さんや家族とのコミュニケーションの工夫などを、できるだけ実践的な形でまとめています。現場の経験だけでそれらを学ぼうとすると、非常に長い時間がかかってしまいます。私が30年にわたって、試行錯誤しながら編み出したノウハウを共有し、現場で生かしていただくことができればと思ったのが本書を書いたきっかけです。そして、初版の刊行から10年以上が経過した今、「看取りの技術」の重要性はますます高まっていると感じ、改訂版の作成に至りました。

看取りは、つらいことも多い仕事です。ですが、同時に、最後まで「その人らしく生きる」ことを支える、とても大切な仕事でもあります。良い看取りができるようになれば、患者さんや家族だけでなく、医療・介護に関わる私たち自身も救われるものです。本書が、看取りに向き合う皆さまの力に、少しでもなれたら幸いです。


2026年6月

平方 眞

目次

第Ⅰ章 なぜ今、看取りの技術が必要なのか

1.本人も家族も納得できる看取りを

変化する「看取り」

「看取りの医療」が必要とされる理由

後悔のない最期を迎えてもらいたい

看取りとは「山登り」のようなもの

2.「 理不尽な死」を減らすために

死とうまく付き合おう

「良い看取り」が社会に利益をもたらす

3.ACPと真摯に向き合う

3つの用語は何が違う?

 ACPの本質は「プロセス」にある

 人生会議は本人と家族が中心

 ACPと重なる意思決定支援は「難問」

現場ごとに異なる「ACPに求められること」

 急性期の現場:判断の即時性と介入の是非

 施設:療養場所の選択

 在宅医療、一般外来:価値観の共有とQOLの最大化

ACPの始め方、進め方

 ACPは導入が最も難しい

 話を始めるタイミング

 結論の先送りが「正解」のことも

4.看取りに関わる医療者の7つの心得

①死から逃げない

②コミュニケーション能力を養う

③強力なお膳立てをさりげなく

④予後予測の方法を知っておく

【コラム】予測不能な人間の不思議な「力」

⑤最初の面談こそ丁寧に

⑥良い説明は事前準備から

【コラム】面談票の書き方の工夫

⑦患者の「最後の希望」を叶える配慮を

第Ⅱ章 がん患者の看取りは「老衰」を目指そう

1.理想的な死に方「老衰」を考える

どうなったときに、人は死ぬのか

「老衰で死ぬ」とはどういうことか?

がんは急速に年を取る病気

2.老衰とは大きく異なる経過で死に至る4つのパターン

①肝不全が出現する場合

 転移性肝癌は進行が速い

 黄疸や意識障害が出てからの経過は速い

 「 速いパターン」をどう見極める?

 【ケースに学ぶ】 肝実質性黄疸と閉塞性黄疸の違いは?

 体力の消耗と便秘は増悪因子

 肝破裂で急に亡くなることも

②呼吸困難が出現する場合

 予後が極めて悪いがん性リンパ管症

③出血を来す場合

④頭蓋内病変を伴う場合

 呼吸・体温中枢の障害に注意

老衰に近付けるために

【コラム】急変時の家族への対応

3.看取りの手順 ~私の工夫~

事前準備をぬかりなく

「そろそろ呼吸が止まりそう」なとき

死亡確認の実際と注意点

家族の「グリーフケア」にも配慮

第Ⅲ章 こんなとき、私はこう対応している~納得できる説明の工夫~

1.「悪い知らせ」の伝え方

傷付けないための伝え方の工夫

「本人に告知しないでほしい」と言われたら

予後予測の限界を説明する

患者の認識のずれを解消する

家族の安心や納得のために

【コラム】がんの病名を伝える際には細心の注意を

2.「老衰」を阻むつらい訴えに対応する

① 疼痛

 WHO方式を基本に患者に合わせた治療を

 「痛みがつらい。でもモルヒネはちょっと……」

② 全身倦怠感

 鎮静は神経系を休ませること

 鎮静は老衰に近付けるための一つの方法

 「薬で眠らされているような感じがする……」

③ 呼吸困難

 酸素療法や補液の調整が必要に

 薬物療法の中心はオピオイド

 「眠くなるのは嫌。苦しくても我慢する」

④ 食欲不振

 新薬も登場、悪液質の治療法

 本人が食べたいものを食べたい量だけ

⑤ 悪心・嘔吐

 制吐薬を使いこなす0

⑥ 腹水

 一度の大量排出には要注意

⑦ 消化管閉塞

⑧ せん妄

 症状に振り回される家族も

⑨ 肝性脳症による意識障害

【コラム】インフォームドコンセントの落とし穴

3.患者や家族の悩み、質問にどう答える?

患者の不安を和らげ、望みに応える

 「全部、裏目に出てしまった」

 「抗がん薬治療は効果があるのか」

 「私はもう長くない」

 「できないことが増えて悔しい」

 「もう十分生きたから、そろそろ死なせてほしい」

 「最期まで自宅で過ごしたい」

家族の不安や悲嘆に対応する

 「こんなにやせてしまって、かわいそうだ」

 「私たちはただいるだけで、何もできない」

 「順番が違う」

 「こんなみじめな状態で生きることを、本人も望んでいないはずだ」

 「どうしてこんな状態なのに入院させないのか」

 「家族同士の関係性がなんだかギスギスしてきた」

 「いよいよ最期が近いのか」

 「皆でずっとそばにいたのに、なぜ最期を看取れなかったのか」

 「亡くなって、どこかほっとしている」

<巻末付録>  

「面談票」の記載例 ~病状と今後の見通しを説明する~

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書籍情報

  • ISBN:9784296203314
  • ページ数:208頁
  • 書籍発行日:2026年6月
  • 電子版発売日:2026年7月7日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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